製作委員会の名称

アニメや映画では、製作委員会方式による製作が行われることがほとんどだ。
その製作委員会にも、実はいくつか種類がある。

大抵は民法上の組合(任意組合)というもの。
任意組合は、おたがい一緒に何かやりましょう!というだけで成立する広い概念なので、その名称などにも制限はない。
映画の場合は、〜製作委員会と映画タイトルを冠した製作委員会(あるいは、フィルムパートナーズ、プロジェクトなど)という表記がほとんどだが、アニメは結構色々ある。
アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の製作者が「SOS団」となっていることなどが良い例だろう。オフィシャルHPもSOS団が作成したという位置づけになっていて、情報を探そうとするときには正直わかりづらいのだけれど・・・。
それが例外というわけではなく、2007年の著作表記を見た(日本動画協会より)だけで、以下のようなものがあった。


聖桜学園PTA、ひだまり荘管理組合、ヴィーナスヴァンガード
ラビットフォース、鉄人計画2007、三千院家執事部
アルゴノートクルー、瀬戸内魚類協同組合、桜ヶ丘市民ロードレース実行委員会
天界編年史編纂委員会 2007、つぐみ寮寮生会 2007、ツゲ神曲楽師派遣事務所
藍蘭島ぬしの会、らっきー☆ぱらだいす、第2ヴィクトリアン文化研究会
劇場版犬神使い派遣協会、はぴはぴフレンズ、ぱすてるインク応援団
雛見沢御三家、ARIAカンパニー、旧都復興委員会
墨東署交通課、光坂高校演劇部、ハマックスカンパニー、コミフェス準備会
(製作者名だけのせたけど、タイトル名全部わかる人とかいるんだろうか)


ところで。任意組合というのは、組合参加者全員が無限責任を負うという、なにかあったときのリスクが非常に高い組合だというのが一つの大きな欠点となっている。何年か前に、その欠点を埋めた組合形態として、映画やアニメ制作への利用も考慮に入れた「有限責任事業組合」(日本版LLP)という制度ができあがった。
その名の通り、組合員全員が有限責任と責任を出資額に限定されることがメリットとなる。
この日本版LLPは特殊な組合という位置づけなので、組合名の正式名称には「有限責任事業組合」という名を入れて、その組合がどんな組合かを示さなければならない。
表向きの表記は、「有限責任事業組合」とは書かずにLLPと略されることが多いだろうが、LLP表記を略すことは難しいとおもわれる。(取引先に誤解を与える表記はよくないので)
最近の映画では、このLLP表記をちょこちょこ見かけるようになってきた。


また、アニメでもアンパンマンLLPができた(http://animeanime.jp/biz/archives/2008/06/_llp.html)ので、アニメでも製作・著作権のところにLLPという表記を見かける機会が出てくるだろう。
また動画革命東京のプロジェクトなんかではLLPがデフォルトとなっている。


映画と違って、テレビアニメは出資者がかなり限定されている印象があるので、今後テレビアニメに日本版LLPが使われるようになっていくのかどうかはわからないけれど。もしLLPが主流になるとしたら、上記のような色々な名前の製作・著作権表記はなくなっていくのかも。
SOS団LLP」じゃ、格好わるいし。