深夜アニメビジネスこんなのムリかな?(2)原作の売上増加を製作収益に含める

深夜アニメビジネス、こんな風に変えられないか?と思いついたことを、思いついたままに書いてみる。2回目。


アニメは原作付きのものが圧倒的に多いが、その原作の売上増加分をアニメ製作プロジェクトの収益に計上できないか。


深夜アニメに限らずだが、アニメ化によって原作であるマンガ・書籍・ゲームなどの売上が増加するという効果がある。
特にマンガやライトノベルなどで顕著であり、出版社にとっては一種の販売促進キャンペーンとして絶大な効果を発揮する。
この販促効果は、あきらかにアニメ化したことで生じたものなので、売上増加分をアニメ製作における収益として入れるということも可能ではないだろうか?

利点1: アニメの収益源の拡大

深夜アニメビジネスは、高価なDVDの販売が主たる収益源なので、そのDVDを購入するコアなファンを満足させることが第一目的となる。しかし、原作の売上増加分を収益源とできるならば、DVDは高すぎて買えないがマンガやライトノベルなら買うという層に魅力的な作品をつくることでの収益獲得が可能となる。


また、現状のビジネスにおいても収益源が増えることで利益を増やすことができる&制作費アップにより作品の質を高めることができる。

欠点1: 出版社にとっては収益の減少となる

アニメ製作プロジェクトにとって利益を出しやすくなるかわりに、出版社にとっては利益の減少となってしまうためアニメ化を認める意義が薄れてしまう。
ただ、これは原作出版社とアニメ製作会社(製作委員会)との力関係によって交渉が可能ではないかとおもう。少年ジャンプなどの人気雑誌における人気マンガなどはアニメ化すればアニメも確実に売れるという鉄板作品となるため、コミックス売上増をアニメ製作の収益とするのは難しい。しかしながら、弱小出版社やコミック誌においてはアニメ化することでの注目度の高まりは非常に大きなものがある。
毎年数千作品(コミックスが年間1万点*1発売され、1タイトルに付き3冊くらいとすると3000作品)ある中で注目を集めるのは至難の業であり、内容が良くとも売れないという作品がおそらく多く存在する。ライトノベルも千作品近くが発売されている(年間2000点*2が発売され1シリーズ年間2冊とすると1000作品)であり似たような状況と言える。
アニメの場合、年間150タイトル程度とマンガやライトノベルに比べれば非常に数が少なく、注目を集めやすいため、内容が良いが主戦場たるマンガやラノベで注目を集め切れていない作品にとっては、売上増加分をアニメ製作プロジェクトの収益としてでも、アニメ化をする意味があるといえよう。

欠点2: 出版社の収益かアニメ製作による収益化の線引きが難しい

まず、売上増加分といっても、どこからアニメ化による増加効果なのかがわかりにくい。
また、売上増加は注目度アップの時点からスタートするため、アニメ製作の発表時点からと考えることができるが、終了時点をどの時点にするかについても線引きが難しい。
前者については、すでに販売が開始された分については増刷分が売上増加分になる。アニメ化発表以降に販売される新作については、出版済の作品の売れ行きの平均値や売れ行きが増加傾向にあるのならば増加分を見込んだ予測値と、アニメ化によって販売する数の差分を増加効果とすればよい。
後者が非常に難しいと思われる。宣伝効果がどれだけの期間続くのかがわからないのと同じで、いつまで効果が続くのかわかりにくい。一旦買い出したならばアニメがおわろうが関係なく原作の完結まで買い続けるという消費者も多いだろうから、作品完結までアニメ製作プロジェクトに収益計上するという考えもあるが、数年間を区切りとして収益計上を行うのがいいだろうか。