GDHはポジショニング理論の経営なのかなあ。

最近、何年か前に経営戦略論の講義の参考書として買った本を読み返して。
ふと、GDHの今の苦境は、ポジショニングを優先しすぎた結果なのかなあと思った。


経営戦略には、おおきくポジショニング理論とリソースベーストビューというのがある。
企業が儲かっている理由がどこにあるか、という考え方で。
ポジショニング理論は、儲かる環境に身を置いているからだという考え方。
リソースベーストビュー(Resource Based View)は、企業に他企業が真似できない儲けの源泉があるからだという考え方。


どっちが正しい正しくないというものではなくて、ものの見方として企業の外と内との見方があるよというものなのだけれど。
GDHの経営は、ポジショニング理論で動いているのかなあと思った。


1990年代後半に、これからはコンテンツの時代だということでデジタルでのアニメ制作に乗り出す。先見の明があったことは間違いない。
テレビアニメが製作委員会方式+パッケージ販売の組み合わせで儲かる+DVD市場の誕生という儲かる条件がそろったところで、早めに製作事業を開始。そこそこの品質のものを製作すれば確実に儲かった。
オンラインゲームについても、アジア市場についても。大きな収益源になっていく少し前に参入することで、完全な先行者ポジションではないけれどもある程度のシェアを確保しようとしている。


その数年先を見通す力というのは確かなんだろうと思う。
ただ、予想以上に競争が激化するのが速く、力を蓄える間もなく数年で儲からなくなってしまったということなんだろう。


GDHGONZO)は、製作者・制作者としてそれほど強みがあるわけではない。
CGとセルアニメの融合が特長というのをどこかで聞いたか見たかした覚えがあるのだけれど。いまやどのアニメでも似たようなレベルのことはできているし、さらに上を行くものも多い。競争優位の源泉とは思えない。
アニメの質が高いかどうかという点でも、中の上みたいなかんじでちょっと中途半端。致命的なのは、企画力が弱いこと。
また、オンラインゲームにしても、ゲーム運営について、それほど良い評判は聞かない。
結果として、競争が激化する中で儲かる環境が厳しい環境へと変わったときに、そこで踏ん張ることができていない気がする。


ポジショニングを優先するがために、リソースの強化が疎かになり、今のような状況になってしまったのかも。


なんてことを考えた。


ちなみに読んだ本はコレ。
大学院の講義に紛れ込んだ門外漢に、初心者用にはこれがいいよと薦められた。

競争戦略論 一橋ビジネスレビューブックス

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