ノイタミナ×プロダクションI.G.

この春『図書館戦争』という小説(ライトノベル作家のハードカバー進出もの)がアニメ化される。
「図書館戦争」公式サイト


おもしろいなと思ったのが、フジテレビのノイタミナ枠でプロダクションI.G.が制作するということ。
ノイタミナ枠とプロダクションI.G.の製作するアニメには共通点と相容れない違いがある。

アニメの一次利用で収益を

ノイタミナ枠は、『ハチミツとクローバー』や『もやしもん』など、コアなアニメファンではなく一般的な20代の女性(F1層だろうか)をターゲットにしたアニメが放送されている。人気のあるものでは深夜1時頃の放送にもかかわらず5%前後の視聴率をたたき出し、同じ時間帯の他局の番組(バラエティ等)と比べても遜色ないどころか優位に立つほどの魅力がある。土曜夕方6時に放送されるガンダム等の視聴率も同じように5%前後ということを考えれば、そのすごさがわかるかもしれない。
そして、通常の深夜アニメでは、製作委員会メンバーがスポンサーとなって放送枠を買い取るわけだが、このノイタミナ枠では通常のバラエティ番組などで見かけるようなCMが流れる。
つまりは、アニメの一次利用であるテレビ放送で収益が上がる(少なくとも出費がなくなる)という方向性を目指している枠だといえるだろう。(同じような方向性を目指した枠が、日テレの火曜深夜にもあり『カイジ』などを放送している)


また、プロダクションI.G.もNHKWOWOWなどで放送されるアニメの製作や、アメリカのテレビ局(だったかな?)と提携し海外からの収益を前もって計画に入れた形など、アニメの一次利用の時点で収益が上がるような方法での製作が多く見られる。


ノイタミナ枠もアニメの一次利用段階で収益が上がるビジネススキームだということで、プロダクションI.G.がアニメ製作に乗り出す(どちらから近づいたのかは全然知らないけれど)ということは、この点を考えればそれほど意外ではないように思った。

DVD販売の価格戦略

しかしながら、ノイタミナ枠アニメと、プロダクションI.G.アニメではDVD販売の価格戦略が決定的に異なる。


ノイタミナ枠のアニメは、これまでの作品はみなコアなファンではなくライトなファンに売ろうという考え方もあったため、1話当たりの金額をかなり安くして販売していた。どれも、だいたい1話1500円程度ではないだろうか。


逆に、プロダクションI.G.は質の高いアニメを作るという制作会社としてのブランドを用い、また高めるためにDVDについては高価格路線を続けている。1話3000円を超えるくらいの価格設定だろうか。
そのため、高品質なアニメではあるものの爆発的に売れるという作品はあまりない。


ノイタミナ枠で、プロダクションI.G.がアニメをつくるというときに、そのDVDの価格はどうするのだろうか?
これによって、どちらかの戦略に変更が生じるという可能性もあるため気になるところだ。
4月にアニメが始まって6月か7月くらいにはDVDが発売されることになるのだろうが、その情報が出てくるのが楽しみだ。