音楽配信とCD販売の収益分配(日本と韓国と)
CD販売と、オンライン販売の収益分配構造の違い。
調べてたら韓国のも出てきたので一緒に。
日本の場合
着うた | CD | ||
売上回収手数料 | 携帯キャリア | 10 | |
インフラ利用料 | システム会社 | 25 | |
流通合計 | 35 | 45 | |
著作権印税 | JASRAC=音楽著作権料 | 7 | 6 |
著作権印税 | 原盤権料 | 13 | 14 |
コンテンツプロバイダ | レコード会社 | 45 | 35 |
売上(1曲) | 100 | 100 |
著作権印税のうち、原盤権料のうち2%が実演家(アーティスト印税)へ、2%がプロデューサへ支払われる模様。
おそらく、これは着うたもCDも変わることはないだろう。
CDの場合は、流通コストが45%(卸売+小売)とかなり高め。
着うたの場合は、デジタルコンテンツらしく、CDという有形のものではないこと、店舗が必要ないことから流通コストが35%とかなり低くなっている。
そして、その差額はそっくりそのままコンテンツプロバイダたるレコード会社へと移転されているようだ。
実際のところ、CDシングルが着うたにそのまま置き換わるのだとすれば、レコード会社としては文句はないのではないだろうか。
着うたの収益分配については、以下より。
【情報通信業界の“気になる”動き】 : 先端ビジネスの先を読む
CDの収益分配については、以下より。
1枚3,000円のCDが売れたときのJASRACの取り分 - P2Pとかその辺のお話@はてな
http://gffg56hge1.hp.infoseek.co.jp/sonota/cd-inzei.html
なお、着うたの方はソースとしては古め(2004年)のため、現状とは乖離している可能性もある。
韓国の場合
CD | モバイル | オンライン(ダウンロード) | オンライン(ストリーミング) | ||
作曲・作詞 | 9 | 9 | 5 | ||
実演 | 4.5 | 4.5 | 2.5 | ||
企画会社 | 24.5 | 40 | 30 | ||
プロダクション(アーティスト等への配分を含む) | 40 | 計 | 38 | 53.5 | 37.5 |
レコード会社 | 15 | コンテンツプロバイダ | 22 | ||
卸売 | 15 | 携帯キャリア | 40 | ||
小売 | 30 | オンラインサービスプロバイダ | 46.5 | 62.5 | |
流通合計 | 60 | 流通合計 | 62 | 46.5 | 62.5 |
売上 | 100 | 売上 | 100 | 100 | 100 |
http://www.promic.net/document/pdf/200803_01.pdfより。
次に韓国の音楽産業の流通構造についてご紹介します。
従来のレコード市場ではプロダクションが製作したアルバムがレコード会社、卸売り会社、音盤売り場などを通じて消費者に届けられる一方、デジタル音楽流通では、プロダクションが製作したアルバムが音源流通業者を通じて、そしてモバイルサービスプロバイダー、オンラインサービスプロバイダーを通じて消費者に届けられており、オフライン市場より単純な構造を有しています。
このスライドでは、各サービス別の収益配分割合についてご紹介します。
従来のレコード市場では、作曲者、作詞家、実演者を含むプロダクションへの配分割合が消費者価格の約40%で、レコード流通業者への配分割合は約15〜20%、卸売り業者へ配分割合は10〜15%、小売業者への配分割合が約30%となっている一方、モバイル市場では作曲者、作詞家が9%、実演者が4.5%、企画会社が25%、CPが22%、携帯キャリアなどが40%となっています。オンライン市場の場合、作曲者・作詞家が5〜9%、実演者が2.5〜4.5%、企画会社/音源流通者が30〜40%、そしてオンラインサービスプロバイダー(Bugs、ソリバダ、Melon、Mnetなど)が46.5〜62.5%の収益配分を受けています。このように収益配分が異なっているのは、オンラインサービスの中でダウンロードサービスの場合はサービス会社のコストが低いため、約46.5%という相対的に低い料率が適用されています。ストリーミングサービスの場合、サービスプロバイダーのコスト、例えばトラフィックがあるため、収益配分割合がより高いといえます。
雑感
日本の音楽業界は、流通業者としてのレコード会社、CDの企画製作者としてのレコード会社が一体となっていることが多いが、韓国の場合レコード会社(流通)と企画会社で配分関係を別にできるほど分離されているということなんだろうか?
日本のレコード会社は、たとえプロダクションが別だったとしても、広告宣伝などまで行っているので、その分収益配分も大きくなるのだろうと思う。
韓国では、音楽著作権者や実演家(アーティスト)等への分配率も、日本に比べて高い比率となっている。
また、オンライン配信のコストをみると、韓国のほうが売上辺りのコストが高く、オンラインビジネスを行う環境としては厳しいように思われる(着うたとモバイルを比べても5%違う)。