2008年上半期、アニメDVDの売上が落ちたと言うけれど

2008年上半期のDVD売上の統計が発表された。
一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)


アニメDVDの売上が落ちたと言うけれど。
販売用に限ってみれば、去年が一昨年に比べ115%くらいの伸びをみせていたこともあり、今年と一昨年を比べると99%とほぼ横ばいだったりするという話。


http://animeanime.jp/biz/archives/2008/09/dvd20086_2.html

 9月12日に日本映像ソフト協会が発表した2008年上半期(1月〜6月)のビデオソフトの売上高によると、国内DVDの売上高は1390億3200万円と前年より6%の減少となった。ブルーレイ(HD-DVD含む)の売上高は95.5%増と倍増したが、DVD、ビデオ、UMD、ブルーレイを全て合わせたビデオソフト全体でも売上高は1415億9100万円と5.1%の減少となっている。
 売上数量でもDVDは6.6%減少、ビデオソフト全体では5.9%の減少となった。数量の減少幅は、売上高の減少幅をやや上回っている。

 ジャンル別では、販売用で「日本アニメーション(一般向け)」が売上高構成比27.4%で引き続き1位となった。日本アニメのDVD市場における存在感の大きさを示すものとなる。一方、海外映画は「洋画(TV ドラマを除く) 」と「アジアの映画」を合計して13.1%で、今期大きく売上を伸ばした「音楽(邦楽)」(17.9%)に追い越された。
 しかし、「日本アニメーション(一般向け)」は、前年同期比で13.5%と大きく売上高を減らしている。同様にレンタル用も11.9%の減少となり、2008年上半期は全体の傾向以上にアニメとって厳しい環境だったことが分かる。

販売用DVDの売上



グラフはJVAの会報(2007年10月号)に今回の発表資料を参考にして、今年2008年を加えたもの。
http://www.jva-net.or.jp/news/news_080911.pdf

 DVD ビデオの「販売用」売上金額をジャンル別に見てみると、今期最も好調が目立ったのは『音楽(邦楽)』で、前年同期比129.5%と大きく伸長した。また『海外のTV ドラマ』と『アジアのTV ドラマ』を合計して、前年同期と比較すると116.7%となっており、このジャンルも好調であったことがわかる。ちなみに『海外のTV ドラマ』と『アジアのTV ドラマ』の売上金額の比率は43.8 対56.2 で『アジアのTV ドラマ』のほうが高い比率となっている。
 一方その他のジャンルでは、『日本のアニメーション(一般向け)』は前年同期比86.5%、『洋画(TV ドラマを除く)』と『アジアの映画』の合計は同81.3%、『邦画(TVドラマを除く)』は同82.1%と、主だったジャンルで前年同期を大きく下回ることとなった。『芸能・趣味・教養』も同71.8%と前年同期割れしているが、これは今期中に退会した社の売上が反映されなくなったことが大きな要因となっている。


販売に限ってだが、一般向けアニメのDVD売上は、ここ数年でみてもそんなに悪い状況ではない。
昨年が一昨年に比べ115%と二桁の伸びを示したこともあり、今年と一昨年を比べるとほぼ横ばい(99%)となる。
全体的な傾向としても縮小傾向とまでは言えないように思う。(ただし、新作数が増加してたりすると、1本当たりの売上が減少し厳しい状況といえる)
下半期には、かなりの出荷数が伝えられている『マクロス・フロンティア』や『コードギアスR2』が入ることもあり、暦年で見れば前期比大幅なマイナスというのはなさそうな気もする。


このグラフで一目瞭然なように、ヤバイのは洋画だろう。
ヨン様ブームで韓国映画が一瞬旋風を巻き起こしたことも要因の一つだろうが、主要因は間違いなくハリウッド映画の不調。下落がおさまる気配がない。
レンタル用では洋画の金額がそれほど落ちていないことを考えれば、異常な状況といえるだろう。


邦画も2004年くらいから下落傾向。
個人的には、一昨年あたりから邦画がかなりおもしろい(一昨年の『ゆれる』『フラガール』、去年の『それでもボクはやってない 』、今年の『ぐるりのこと。』『歩いても 歩いても』など)と思うのだけれど。所詮単館系なので、市場に大きな影響は与えないのだろうなあ。

レンタル用DVDの売上

グラフは、販売用と同様、JVAの会報(2007年10月号)に今回の発表資料を参考にして、今年2008年を加えたもの。
http://www.jva-net.or.jp/news/news_080911.pdf

 DVD ビデオの「レンタル店用」売上金額のジャンル別の増減を見てみると、『海外のTV ドラマ』と『アジアのTV ドラマ』の合計は前年同月比122.4%と大きく伸長しており、このジャンルの好調さが目立つ。『海外のTV ドラマ』と『アジアのTV ドラマ』の売上金額の比率は、58.5 対41.5 となり、「販売用」と比率が逆転している。
 一方、その他の主だったジャンルでは、『洋画(TV ドラマを除く)』と『アジアの映画』の合計が同92.8%、『日本のアニメーション(一般向け)』は同88.1%、『邦画(TVドラマを除く)』は同89.6%、『日本のTV ドラマ』は同91.1%と、どのジャンルも1割前後の減少となった。


レンタルは、2002年頃から本格的にDVDレンタルが始まり、棚をVHSからDVDに入れ替えるという需要が発生したために、昨年くらいまで大きな伸びを見せてきていた。それが、今年2008年の上半期はついに前年割れとなった。
従って、これからは一定規模の市場(レンタル店にとっての仕入)を、各ジャンルが奪い合うという構造になっていくだろう。
この2,3年くらいは、海外ドラマが非常に人気で、全体の伸びを大幅に上回る成長率となっている。今までは全体が延びていたために、他のジャンルも横ばい又は増加傾向にあったが、全体が横ばいの中海外ドラマだけがのびるので、他ジャンルが減少傾向となっていくのは仕方のないことといえよう。

ブルーレイディスクの動向

http://www.jva-net.or.jp/news/news_080911.pdf

 ブルーレイ(HD DVD を含む)の売上金額は22 億6600 万円でソフト全体の売上金額の中では1.6%の構成となるが、前年同期比は195.5%と2倍近い伸長となっている。
 売上金額に占めるHD DVD の割合は3.7%、数量においては4.7%となっている。ジャンル別の構成では、『洋画(TV ドラマを除く)』が68.6%と7割近くを占め、次に『日本のアニメーション(一般向け)』が20.9%を占めている。

ブルーレイの勝利(HDDVDの撤退)が決まったのが2008年2月頃。
それまでは、販売されていたコンテンツがほぼハリウッド映画のみだった。
日本のアニメはそれまではほとんど販売されていなかったが、4月以降くらいから販売が本格的にはじまったように思う。『マクロスフロンティア』では、通常のDVDとブルーレイディスクブルーレイディスクのほうが売れているという報道もあったので、おそらく日本アニメの年間の構成費は、上半期の構成比を大きく上回ることになるだろう。