GDHの2008年度1Q決算

2008年8月15日あたり(四半期報告書提出期限ぴったりなのかな)に提出されたもの。
だいぶ時間がたってしまったが、眺めてみた。


以前、2007年度(2008年三月期)の決算で、株主資本がマイナスでヤバイよという記事を書いた。
タカラトミーと子会社の資本提携。GDHがやばめ? - Obra de Sobra よしなしごと
そのときは、事業の柱をオンラインゲーム事業に移し、アニメーション事業については赤字の主たる原因であろう製作出資を控えて制作事業に注力するという方向になるんだろうと推測していた。(コメント欄にて)

ゴンゾロッソは、唯一の黒字事業でこれからのグループ中核という位置づけでしょうから、連結を良くするということ以前に、支配を手放したら終わりという気もします。
GDHのアニメ事業は制作と出資に分けられますが、制作事業については大量のアニメを制作してきているので予算管理も十分にできるだろうことを考えれば、赤字は出資事業がほとんどと考えることができるんじゃないでしょうか。
アニメ事業を売り払わないという前提では、今後は出資を控えて制作に注力+オンラインゲームでキャッシュを稼ぎ、企業価値を上げていくのかなあなんて思います。一旦下請に後戻り、ですかね。


6月末に提出された有価証券報告書でも同じことが書かれていたが、基本的にはオンラインゲーム注力+アニメーション事業は制作を主として出資はおさえるという方向性に加え、オンラインゲームの収益拡大のためにテレビアニメとの連動を図るという戦略となっている。
GDH 2009年3月期1Q 四半期報告書より)

 当社グループは、当該状況を解消すべく、アジアを中心に市場成長が著しいオンラインゲーム事業を中心に当社グループ事業の立て直しを図ってまいります。
 オンラインゲーム事業におきましては、アジアを中心に市場成長は著しくビジネス機会が急速に拡大していく中、世界的な競争優位なポジションを確立すべく、世界展開を狙える戦略的タイトルの投下によるラインナップ強化とアジアを中心とした世界各国への海外展開により高成長・高収益の実現を目指してまいります。
 アニメーション事業におきましては、事業リスクの極小化を最優先課題とし、制作コスト及びスケジュール管理の徹底による安定した制作利益の確保に加え、出資比率の低減や出資タイトルの厳選化による出資リスクの抑制を図ると共に、当社が保有する会計上償却済みであるコンテンツ・ライブラリーの積極的な活用による事業収支の改善を図るとともに、将来のブロードバンド時代に向けた新たなビジネス機会に備えてまいります。
 これらを実現するためにも、オンラインゲームとアニメーションの連動タイトルの投入、これまで築いてきた海外ネットワークのフル活用等、当社グループの強みを活かし、グループ一丸となって取り組んでおります。

セグメント情報を見ると、セグメントの区分が変更されている。

(1) アニメーション事業 ・・・・・ アニメーション作品制作、番組販売権等の二次利用窓口権・版権投資回収
(2) オンラインゲーム事業 ・・・・・ ゲーム作品制作・運営、モバイルサイトの企画運営
(3) その他事業 ・・・・・・・・・・ ファンド運営及びファイナンシャルアドバイザリーサービス、その他事業
事業区分の方法の変更
事業区分については、製品種類の類似性等を勘案した事業区分(コンテンツ(制作)事業、コンテンツ(ライツ)事業、メディア事業、ファイナンス事業、その他事業)を採用しておりましたが、管理体制と事業区分に整合性を持たせ、会計事象を財務諸表により適切に反映するため、当連結会計年度より、アニメーション事業、オンラインゲーム事業、その他事業の3事業区分にいたしました。具体的には、ファイナンス事業をその他事業に含め、コンテンツ(制作)(ライツ)事業ならびにメディア事業をそれぞれアニメーション事業とオンラインゲーム事業にいたしました。


制作・ライツという機能別の区分を、アニメーション・オンラインゲームという商品の種類別に変更している。
以前は制作会社が製作を主導するというのがモットーだった会社が、アニメからオンラインゲームに注力ということと見えなくもない。
ただ、セグメントの変更というのは見せたくないモノを隠したい時に行うって場合もあるので、どういう影響があるかは知らないが注意が必要。


あと。気になる注記がコレ。
GDH 2009年3月期1Q 四半期報告書より)

財務制限条項
長期借入金250,000千円(一年以内返済予定長期借入金100,000千円含む)には、以下の財務制限条項がついており、以下の財務制限条項の全てに抵触した場合には、当該会計年度末の属する月の4ヶ月後の月における契約日から、1年後の日付を新たな最終弁済期限と定め、当該最終弁済期限までの間に残債務金額を毎月均等返済する義務を負うことになっております。
1. 会計年度末時点での決算報告書に記載する連結または単体で営業利益及び経常利益が赤字となったとき。
2. 各会計年度末時点での決算報告書に記載する連結または単体で自己資本比率が0%未満となったとき。

会社が破綻するかどうかは、手許の現金(預金)が足りてるかどうかにかかっている。
長期借入金に関する財務制限条項に引っかかると、繰上返済を求められるわけで、それはもう死亡宣告を受けることと同じだ。

この四半期で、のれんの減損損失を出しているのだが、ついこの前6月末に出された有価証券報告書でも減損損失はみっちり計上されている。その前期の有価証券報告書を作っていたのは5月(あるいは6月上旬)なわけで、たった2ヶ月程度でさらに収益力が大きく悪化するというのは、実際のところ考えにくい。
おそらく、この財務制限条項の2番(自己資本比率=たぶん純資産比率が0%未満)というのを回避するためのものなのだろう。


今期のストライクウィッチーズとか、評判いいみたいだけれど。
そういうので盛り返せるといいなあ。