コンテンツの対象年齢と対象世代

この前、似ているようで本質的に違う視点として「対象年齢」と「対象世代」という考え方があることを知った。
対象年齢と対象世代 - Obra de Sobra よしなしごと

その視点で、マンガ、ゲーム、アニメの発展を少し考えてみた。

マンガの対象年齢と対象世代

あまり、歴史に詳しいわけではないので、細かいことは言及できない。


マンガははじめ、「10代の子供」という対象年齢を意識したコンテンツだった(と思う)。
戦後1950年代から60年台にかけて、子供向けという「対象年齢」を絞ったマンガ雑誌創刊されていった。
そして、70年代には60年代に子供だった消費者を対象に青年向け・大人向けのマンガ雑誌が創刊されていった。この動きは、団塊の世代という世代をターゲットとした動きだ。その一方で、60年台に創刊された子供向けマンガ雑誌は、新しく10代になる子供たちをターゲットとしてそのまま存続した。


マンガを読むことが週刊となった団塊の世代の人がマンガを読み続け、さらに新しく生まれた子供たちがマンガを読み始めることで、マンガの読者人口は時を経るにしたがい増加の一途をたどり、その対象年齢も10代から50代60代までに広まった。

このような形で、年齢だけではなく世代を対象とすることができたために、特異な日本のマンガ文化ができあがったのではなかろうか。

参考:http://hunter_kingdom.at.infoseek.co.jp/sotsuron1-2-1.html

テレビゲームの対象年齢と対象世代

テレビゲームが普及しだしたのは1980年代中頃からなので、まだ20年ほどしかたっていない。
テレビゲームも、やはりはじめは10代の子供向けが中心だった。
ファミコン時代は、ボタンの数が少ない、演算能力や容量が少ないということもあり、単純な操作・直感的な操作でできるゲームが多かった。


1990年代中頃から、10代後半20代向けのゲームが増えだした。
これも、1980年代に子供だった消費者の成長にともなって、その世代(団塊ジュニア?)をターゲットとしたものと言えるだろう。
しかし、それ以後1プレイに時間がかかるなど、働き出して自由時間が減った20代30代にとってはゲームを消費するためのハードルが高くなり、30代以上のゲーム人口は激減。結局、10代20代という年齢を対象とした産業となっていた。


任天堂が、カジュアルなゲームということで、以前ゲームをしていた世代や、今までゲームをしていなかった人たちを対象としたゲーム機をつくることで、その打開を図ろうとしている。
ソニーは、そのまま10代20代向けのゲームとして新ハードを展開しようとしたが、金額的な問題で20代以上に対象年齢が絞られ爆発的な普及が起きづらくなっている。かもしれない。

アニメの対象年齢と対象世代

アニメに関しては、60年代のテレビアニメから80年代ころまでは一貫して子供向け(5-15歳くらい?)という年齢を対象としたコンテンツであり続けた。
そんな中80年代に、ガンダムなど20代の若者を対象としたアニメが出始める。しかし、ゴールデンタイムでの視聴率がとれるほど対象が広いわけではなく、10代後半以上を対象としたアニメは細々とOVAなどで展開される。その後、深夜に放送するという形態で大人向けアニメのテレビ放送が始まるようになり、今に至る。


大人向けのアニメの対象は、80年代に10代20代の若者だった現在40歳代のこの頃アニメに夢中になった世代を上限に20-40歳代の年齢が対象となっている。
テレビゲームと違って、消費(視聴)に時間的な制約は少なく、また可処分所得もそれなりにあるために、細々とではあるが時間が経つにつれその規模は大きくなっていく。


ただし、現状ではその消費者の増加よりも、制作されるアニメの数の増加が大き過ぎるために、一つ一つの作品の収益力が落ちている。