動画共有サイトでアニメを見る人は何にフリーライドしているか

動画共有サイトのアニメを見る人がフリーライドする対象(権利・利益)は、「テレビでアニメを見る」権利ではなく、DVD購入・有料配信などの方法でしか得られない「いつでも何度でもアニメを見られる」権利に対してだいう話。


2008-01-30を受けて

http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20080130/1201711942

TVアニメというのは、TVがあり電波が届けば、あとは時間になったら向こうから勝手に全部見せてくれるものだ。内容が面白いかつまらないかにかかわらず。それもタダで!

YouTubeニコニコ動画にアップされたTVアニメを見るというのは、実感としてはいつもやっていることとまったく変わらないわけだ。それを著作権がどうのとごちゃごちゃ言われて消されれば、いつもタダで見せてくれているくせにネットに上がった途端削除って、何ケチくさいこと言ってやがるんだこいつら、というごく素朴な反感を持つのも道理である。

そもそも現在のTVアニメの収益のシステム、つまりTVで放映したのちDVDソフト化し、その売り上げで賄うという仕組みがどうかしている。色々を捨象して思いっきり平たく言うと、あれはあらかじめ売り物を全部公開し、しかも隅から隅まで味わいつくすことが可能で、そのうえで「気に入ったらお金ください」と要求するという、かなり常軌を逸した商売なのだ。

TVアニメは常にフリーライドできるものであり、正当な対価を支払うことは馬鹿馬鹿しいどころか、そんな発想すら難しいのではないか?

ここらへんの話。
何に対してフリーライドしているのか、ということが考えられていないために少し奇妙に感じた。


基本的に、アニメのテレビ放送というのは壮大な宣伝であり、その宣伝を利用してグッズやDVDを販売して収益を得るというビジネスをしている。
そのため、「テレビ放送でアニメをタダで見る」こと自体は(CMを見るという対価が必要となるが)視聴者の持つ権利といえる。そのためテレビアニメをテレビ放送で見ることについてはフリーライドではない。テレビアニメに限って言えば、無料で宣伝活動ができること自体は逆に望ましいことですらあるだろう。


動画共有サイトが問題となっているのは、動画共有サイトとテレビ放送に決定的な違いがあるからだ。テレビ放送は決まった時間に1回だけ放送されるのに対し、動画共有サイトはいつでも見られる何度でも見られる。
動画共有サイトが誕生するまでは、「いつでも何度でも見られる」権利というのは、見たいときにレンタルするか、DVDを購入することでしか得られなかったものだ。(録画という方法もあるわけだが、録画を忘れたりとかでなかなか完全とはいかず利便性が悪い)


元々、有料で購入すべき「いつでも何度でも見られる」権利や利便性を無料で得ておいて、テレビでもタダで見られるんだから何も変わらないじゃないかという主張をすることには違和感を感じる。


逆に、動画共有サイトでも、1回目はタダで見られるのだけれど2回目以降は有料というシステムをつくることができるのであれば、テレビアニメについて(他のテレビ番組はまた別だろう)はある程度許容されていくんじゃないかと思う。