アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』2期決定の新聞広告

数日前、テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の2期目の製作が決定したという発表があった。
発表自体は特におかしなところもないが、新聞の一面広告が出たと聞いて驚いたので、なぜ新聞なのだろう?と少し考えてみた。

テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のヒット

数日前、テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の2期目の製作が決定したという発表があった。
このアニメは、昨年(2006年)春から3ヶ月間放送されたものである。ネットワーク局ではなくUHF局で放送されたアニメであり、youtubeにアップロードされインターネットを通じて広がったということもあり大きな話題となった。


深夜アニメの乱造とも言える状況で、DVD1巻あたり1万枚売れればヒットと言われる中で驚異的な売上を示した。DVD9巻で累計80万枚とも言われている。(*1)
原作は小説(ライトノベル)で、アニメ化の時点でシリーズ発行部数130万部(*1)と人気は高かったが、アニメ放送後累計280万部(*2)、現在400万部以上(*3)となっている。アニメ化の時点ではシリーズが7冊、現在9冊となっていることもあるが1冊あたりの平均としても倍以上となった。


テレビ放送終了後から2期製作を希望する声が多く、ニコニコ動画などで今でも多く見かけることや今回のニュースがネット上で大きな話題となっていることからも、テレビアニメの放送から1年が経った今も人気は衰えていないことがわかる。2期製作を決めた時点でヒットが約束されていると言っても過言ではないであろう。


(*1)涼宮ハルヒシリーズ - Wikipedia
(*2)http://www.bunkatsushin.com/modules/bulletin/article.php?storyid=2461
(*3)http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/manga/graph/20060809/
(*4)lightnovelnumbers - grevグループ

2期製作決定の新聞広告

アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の2期製作について、朝日新聞で一面広告による告知がされた。
全国紙の一面広告に必要な広告費は4000〜5000万円のようで、アニメだけを見れば2話〜4話分の制作ができる金額となる。通常のマーケティング活動をすればヒットは約束されていると言える状況の中でわざわざ新聞広告がなされたのはなぜなのだろうか。


深夜アニメが性質上数百万人・数千万人を相手としたものではない以上、新聞広告を計画したのはおそらく出版社だろう。
出版社の視点で見ると、アニメは原作を売るための宣伝となる。アニメの大ヒットによって、アニメは見るけどライトノベルは読まないという層やライトノベル好きだがまだ読んでいなかったという層を取り込んだ。その結果累計発行部数が400万部を超えるなど、ライトノベルに接しやすい層にはほぼ行き渡ったといえる。
このため、単にアニメ2期を製作しただけでは部数が大きく増えるとは考えにくい。


とはいえ、これだけ話題となったのはいわゆるオタク(アニメ、ライトノベルのいずれかが好きな人)やインターネットのヘビーユーザーに限られる。それらにあまり関心のない人は、その存在すら知らないのが普通だ。
アニメの2期製作をきっかけとして小説の売上げを増やそうと思えば、彼らを広告宣伝の対象とする必要がある。
現時点で『涼宮ハルヒ』の存在すら知らない人・名前だけ聞いたことのある人に対して小説を売っていこうという考えから新聞というメディアが使われたのだろう。
大きな話題となっているということを印象づけることで、ライトノベルというだけで敬遠している人や表紙を見て買うのをためらう人の購入を後押しし、あわよくば『涼宮ハルヒ』シリーズから他のライトノベルも、という期待まで含めて、新聞広告という方法が用いられたのではなかろうか。