テレビゲームのアニメ化。CMとしての価値。

ワールドデストラクションを見てて、ちょっと考えた。
二次利用としてのアニメと、販促としてのアニメ。


テレビゲームを題材としたアニメというのがある。
ゲームのアニメ化の類型は、ゲームの発売時点を基準に考えると、次の三つとなる。

  1. 発売後の作品のアニメ。
  2. 発売前の作品のアニメ。
  3. オンラインゲーム等、現在稼働中ゲームのアニメ化。


そして、その目的を考えると、次の二つになる。

  1. 二次利用としてのアニメ化
  2. 販売促進としてのアニメ化

二次利用としてのアニメ化

基本的には、発売後のアニメ化が該当する。
また、稼働中ゲームのアニメ化も該当するものが含まれる。


テレビゲームは発売直後の一ヶ月程度で売上が生じ、それ以降はほとんど売れなくなるという。(その後、口コミで人気が出ても、購入されるのは中古だったりすると、どこかで聞いた)
あとは、1年2年後に廉価版を出すくらいしかないのだ。

したがって、発売後のアニメ化というのは販売促進目的ではありえず、二次利用目的となる。
つまりは人気の出たゲームをアニメ化することで、さらなる収益・利益の獲得を狙おうという、二匹目のどじょう作戦だ。


メディアミックスの一般的な形で、一番分かり易いものだろう。
たとえば、マンガでヒットしたので、グッズ販売、ノベライズ、ドラマCD、アニメ化、ゲーム化、フィギュアなど高価格グッズ販売、実写ドラマ化、映画化などにつなげていくというのと同じ考え方。


パッと思いつくのは、テイルズシリーズだろうか。


販売促進としてのアニメ化

基本的には、発売前・稼働中ゲームのアニメ化が該当する。
発売前、あるいは現在稼働中のゲームのアニメを放送することで、認知度・注目度を高める、ゲームに関する詳細な情報を提供することができる。アニメの出来次第だろうが、視聴者のうちのかなりの人の興味を引くことができるだろう。


アニメをゲームの販売促進として使うわけだが、これって、同じテレビというメディアを使う方法でも、テレビCMを流すことにくらべたらよほど効果も効率も高いんじゃないかと思う。


ゲームのアニメ化において、ゲーム制作会社がたとえば製作委員会に1億円くらい出資したとする。
赤字覚悟なんだけれど、7割くらいは帰ってくると考えれば、アニメを販促として用いるためのコストは1億円の30%、3,000万円だ。
3,000万円で、13回×30分をかけてゲームの世界観やキャラクターなどを紹介できる。うまくやれば、次回予告部分=ゲームの宣伝なんてこともできる。CMについても、タイムCMなので30秒、スポットに比べかなり割安な価格で出稿できる。
要は、ピンポイントの2,300万人に、詳細な情報提供を行う効果がある。


一方、テレビのスポットCMは、全国放送で15秒200万円くらいらしい。
一応数字を探してみたところ、以下のようになっていた。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmg/20071010/137304/?P=2&ST=nmg

※編集部注) GRP単価は一般に、在京キー局で10万円くらいと言われている。例えば、関東地区で225GRPを獲得するには2250万円のコストがかかる。3000GRPなら3億円である。

GRP(=GrossRatingPoint)は視聴率の累計%のこと。スポットCMは、放送回数ではなく、1,000GRP(視聴率合計が1,000%になるまで)分という形で使われるのだ。
関東地方の人口がだいたい日本人口の1/3程度なので、全国でその3倍として全国の1GRPで30万円。7%視聴率のところに出せば1回200万円となる。
1回200万円のCMを、3,000万円の予算で流そうとすれば15回×15秒しか出稿できない。
そして、商品を認知するためには、同じCMを1人3回見るくらいが必要と言われる。
それを考えるとこれで、どれだけの認知度を高めることができるだろう?その中のどれだけの人が興味を持って、ゲームの内容を調べ、さらに購入に至るだろうか?


そんなこんなで。販促としてのアニメというのは、実はかなり価値が高いんじゃないかと思った。
ただ、3,000万円のコストとは言ったけれど、1億円を2,3年間塩漬けにできるくらいの資金力が必要なので、コレができるところはかなり限られてくる。