『ネギま』のアニメDVD付きコミックスがスゴイ!

ネギま』のアニメDVD付きコミックスが売れているらしい。
8万冊(本?)を超えるくらいなんだとか。
数字もだけれど、そのビジネスモデルも画期的なもののように思う。


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 ネギま!の新シリーズアニメODAが予約段階で80000本越え・・・って!すげえ!


OAD付き限定版ネギま23巻の利益をザックリと計算してみた - フラン☆Skin はてな支店

以下ネギま23巻限定版の数字。
部数:82581部
定価:3570円
単行本単体:420円

ソースがどこかが明示されていなかったけれど、オリコンあたりだろうか?


http://negima.kc.kodansha.co.jp/
ここのカウンターが予約数なのかな?

購入者はだれ?

だれが買ってるんでしょう?


引用した二つのリンク先では、コミックスしか買わなかった人がDVD付きを購入していると言う論調となっている。
個人的にも、アニメ版のファンと、毎回コミックスで限定版を買う層の両方が買ったのかなと思ったりする。


一つ前の22巻も限定版と通常版があったようだ。
ということで、22巻の売上をオリコンで差がしてみた。
発売初週の売上が以下のようになっている。
通常版 144,601部
限定版 38,140部
オリコン、2008年04月28日 付のコミックスランキング)


また、『ネギま』の作者の日記には、以下の記述がある。
日記帳
2008年7月22日の記述

あと、バッジ付きの22巻限定版の9万1500名と、今回の8万2000名の購買者が、どれくらい重なっているのかも知りたいですね。
OADでは結構重なっているはずですが、あまり重なっていなければ、売れたのは主にアニメのおかげということになるでしょう。


ここでの、オリコンと作者の日記の数字の違いは、実売数と出荷数の違いだろうか?
第23巻限定版については完全受注生産ということだが、それをそのまま実売に結びつくと考えると、22巻の限定版実売数の2倍近いということになってしまう。(限定版購入者はほとんど発売日に購入するだろうことを考えれば22巻の実売は4万数千冊程度になるんじゃなかろうか?)
さすがにそんな事態は考えづらいので、この8万という数字には、予約者は個人だけでなく、店頭販売を行うべく小売店が注文した数も入っている(そしてきっと、半分くらいは売れ残る)と考えるべきなのだろう。
ただ、こういう限定版は返品不可としているだろうから、出版社・アニメ製作者側からすれば8万冊超の売上を記録したと考えることに差し支えはない。


なお、オリコンの数字が嘘っぱちなだけという可能性もあるのであしからず。

成功の要因は?

成功の要因はなんだろうか。
ぱっと思いつく範囲では以下のように思われる。

  1. 以前にアニメ化されており固定したアニメファンがいる(以前のテレビアニメDVD、OVA売上から数が予測可能)
  2. コミックスファンにも限定版を購入する固定ファンがいる(以前の限定版から数が予測可能)
  3. 上の両方がDVD付きコミックスを買うだろうことが予測できる(=作品の読者対象が比較的高齢で購入余力有り)
  4. 3話(2ヶ月ごと)ということでひと月あたり2000円(×6ヶ月)程度の負担(通常のアニメは月5000円×8本とか)=単価に比べ安く感じられる


簡単に言えば、20代以上の男性(=お金に余裕有り)向け萌えマンガをアニメ化して、コミックス・アニメ両方で固定ファンを獲得し、限定版DVD付きコミックスという両分野が混在し、高いか安いかよくわからないという商品を作り出したことが成功の要因だろう。
そこには、一つの発明と言って良いくらいの意義があるんじゃないだろうか。

アニメDVD付きコミックスの意義

ネギま』の作者の日記
日記帳
2008年6月20日の記述

来週は、ネギま23巻限定版(OAD1)の予約締め切り(6/25)がありますね。
初のアニメDVD付き限定版ということで、発売日を一ヶ月延ばしてまで長いこと販促プロモーションをやってきましたが、いよいよ予約数の最終結果が出ます。
この数字が、ネギまの今後に重大な影響を及ぼすことは疑いありません。

いや、このOADという方式(TV局や広告代理店を介さずに、読者がスポンサーとなって直接購入する)自体が、新しいアニメの一形態として成立するかどうかも、時期&規模的に言ってこの一本で決まると言えるのではないでしょうか。
これが成功すれば、他社参入はあると見ています。比較的表現の自由が確保されている(※パンチラとか(笑))メディアで、しかも従来のOVAより安価ですし、更に単行本の最新刊まで付いてくるとなれば、アピール力は高いはず。予約生産制なので大幅に売れ残る危険性も少なく、書店も製作側も安心です。


アニメDVD付きコミックスの利点は、ここで述べられているように、コミックスと連動させることでOVAよりもビジネス上の安全性・収益率が高く、かつ消費者にとって妥当な価格でのアニメ製作を行うことができるということだ。


また、あまり高額な商品を購入する機会のなかったコミックスの固定ファンから、さらなる収益を上げるという点で、コアなファンから搾り取るだけ搾り取れ方式の一歩先を行くモデルとも言える。


さらに言えば、一度アニメ化することで盛り上がった作品の寿命を延ばしつつ、収益最大化を図るための策としても大きな意味を持つ。
アニメ化によりアニメ版の固定ファンをせっかく獲得しても、第2期やOVAを製作するのはリスクが高い(第1期以上に売れる可能性は低く、第1期から売上が激減する可能性もある)。それならば新しく人気が出始めた作品をアニメ化した方が良いということになり、せっかく獲得した固定ファンをみすみす逃し、そこで終わってしまう。
しかし、ビジネス上安全性の高いDVD付きコミックスという選択肢が登場したことで、アニメ化で獲得した固定ファンを有効に利用することができるようになる。ファンにとっても、アニメの続編が製作され続けるというのは非常に喜ばしいことだろう。