オリコンの会社としての事業

オリコンといえば、音楽CD等の売上ランキングの雄ですが。
実際のところ、どうやって収益を得ているのか。

有価証券報告書決算短信を見てみた。
2006年4月から2007年3月までの1年間での売上は次の通り。

オリコンの事業別売上高

連結では全体で61億3100万円の売上がある。


1. データベース事業
オンライン上の売上ランキング等のデータベース提供サービス(真大樹ほか)
売上高4億8000万円。売上構成比7.8%
2. メディア事業
全体では売上高46億7600万円。売上構成比76.3%。
(1) 音楽配信
着うた、着メロを中心に今期着うたフルに算入。また、PC向け配信は黒字化できず撤退。
売上高15億4800万円。前期比12.6%減。売上構成比25.2%
(2) 雑誌・広告販売
雑誌や広告販売。
オリコン・スタイル』が中心と思われるが、『患者が決めたいい病院ランキング』なんて本やファッション雑誌っぽいものもある。
参考:オリコンの出版物 | ORICON NEWS
売上高16億2200万円。前期比0.8%増。売上構成比26.5%
(3) Webメディア事業
ここ数年Webサイトでランキング以外の情報も充実させてきている。
バナー広告、タイアップ広告、今期新規立ち上げのランキング連動型広告による収入がメイン。
売上高15億600万円。前期比17%増。売上構成比24.6%
3. フランクリン・ミント事業
連結子会社のフランクリン・ミント社による通信販売事業。コレクションアイテムの販売。大幅売上増も赤字からは抜け出せず。
参考:http://www.franklinmint.jp/
9億7400万円。前期比67.2%増。売上構成比15.9%。

オリコンの事業を見て

ランキング情報を中核として、情報そのものの販売の他、雑誌・Webメディアの販売、さらに携帯電話向け音楽配信サービスを行っており、それとは趣を異にする通信販売事業を2006年に取得している。
売上規模としてはほぼ同規模の事業を複数もつことで、一つの事業の採算が悪化しても企業自身が傾くことがないような構成となっている。
セグメント別の営業利益率をみると、データベース事業が20%に対して、メディア事業は9%となっているものの、メディア事業においては音楽配信での着うたフルへの算入、PC配信の撤退等がコスト増の原因でそれほど憂慮すべき内容ではなさそうだ。
昨年から始めた通信販売事業が赤字だが、他の事業については売上だけでなく利益も安定しているように思われる。

音楽配信のランキング

オリコンの最大の武器はデファクトスタンダードとなったランキングだが、近年CDの売上が減少の一途をたどり、音楽配信サービス(携帯向けが9割以上を占める)が大きな伸びを示しており、音楽産業におけるCD売上ランキングの価値が少しずつ落ちている。特に、昨年くらいに音楽配信サービスの売上がCDシングルの売上げを追い抜き、またそのランキングもCDシングルと音楽配信では一致しているとは限らない状況である。
今後、音楽配信サービス市場を網羅するランキングサービスを他社に握られてしまうと、オリコンとしては差別化要因であるランキング情報の価値が下がってしまうことになりかねないのだが、配信サービスにおけるランキングの構築を対処すべき課題として挙げてはいるものの、事業上のリスクとしては認識されていないようだ。さすがに配信サービスにおけるランキングの重要性に気づいていないことはないはずなのだが、オリコンにできなければどこにもできないという自信なのだろうか?