アニメDVD売上不振の理由

DVDが売れない時代のアニメビジネス GDHに聞く - ITmedia NEWS
GDHの内田副社長がインタビューに答えた記事。

売上げ不振の理由はレコーダと動画共有サイト

DVD売上不振の理由として、自社作品の力不足を第一に挙げながらも、業界全体の不振として次の二点を上げている。

  1. HDD&DVDレコーダーの普及
  2. Youtube動画共有サイト

このこと自体は何度も言われていたことだが、HDD&DVDレコーダーの普及が国内DVD販売に影響を与え、動画共有サイトは主に海外売上に影響を与えていると国内・海外の不振要因を分けて考えている点が興味深かった。

 HDD&DVDレコーダーの普及は、特に国内のアニメDVD販売に打撃を与えていると見る。地上波で放映された作品を家庭でDVDに録画・アーカイブできるようになり、放映終了後に改めてDVDを買おうというユーザーが減ったとみられるためだ。

さらに言えば、デジタル放送はハイビジョン放送なのでDVDよりも質の高い映像が流れる。このため画質の低いDVDの価値に対して疑問符がつくことになる。

 動画共有サイトは、海外のDVD販売を直撃していると考えられる。日本で放映された新作アニメが、YouTubeのように世界共通フォーマットの動画共有サイトにアップロードされると、海外のファンは海外版のリリース前に視聴でき、DVDを買わずに済む。日本版をコピーした海賊版DVDが、正式版発売前に安価に出回ることもある。

その反面、Youtubeには大きな宣伝広告の効果がある。

 「最も多くの人に視聴してもらえるメディア」と同社が位置づけているものの1つがYouTubeだ。「YouTubeの圧倒的な集客力は魅力。当社のアニメを最初に知ってもらう場として活用したい」

新たなビジネスモデル?

この記事では、特に海外での売上減について、ローカライズ(字幕や音声、パッケージなどを海外仕様に作り変えること)に時間がかかり、その時間に違法な動画共有が行われることで収益ロスが生まれていると言う。
また、「日本のアニメを月額固定料金で安価に配信する違法サイトが海外で人気と、オフィシャルな提供がされていない地域でも有料でのアニメ配信にニーズがあることが証明されており、収益機会があるという。


現在のアニメの海外事業の問題点は、ハリウッド映画などと同様に、第一次ウィンドウが違法な動画共有となってしまっており、そこでの収益機会はアニメ製作者ではなく海賊業者等が握っていることにある。
違法だと主張するだけで根絶できるものではない以上、製作者は赤の他人が手に入れている収益機会を自分たちのものとする努力が必要となる。
その解決策の一つとして、ハリウッド映画業界では世界同時展開が行われている。しかし中小企業でしかないアニメ製作会社はそのような能力を持たないため別の方法を考えることが必要となる。


その方法の一つとして、熱心な消費者の参加を認めるという立場をとることができないだろうか?
海外では熱心なファンが日本で放送されたアニメを数週間のうちに自分たちで英語・中国語・スペイン語・フランス語等の字幕をつけるファンサブと呼ばれる行為が行われている。
たとえば定額制の有料サイトなどでアニメを日本語・日本仕様のまま日本とほぼ同時期に発信し、その中でファンサブ行為を容認することで安価にタイムリーにアニメを世界に提供することができるように思う。


海賊業者は儲かるから海賊行為を行うわけで、製作者自らが似たようなビジネス展開を行えば、うまみがなくなり逮捕リスクばかりが高いということになれば海賊行為の減少も期待できるのではないだろうか。