デザインライブラリと目利き

NHK教育の未来人という番組にナガオカケンメイというデザイナーが出ていた。
リサイクル、ロングライフデザインといった言葉をキーワードとして、毎年毎年新製品を出しその数だけ他の製品を廃盤とするというサイクルをやめ、過去につくった良い商品を定番として売っていこうという考え。


その活動を見ていて、会社とデザイナーに、「デザインライブラリ」と「目利き」という関係があるのだなと思った。
たとえば会社は毎年10製品を30年間作り続ければ、その会社には300ものデザインが蓄積されていることになる。そのカタログ自体がデザインライブラリとなり、無形・簿外の大きな資産となる。
そして、一流デザイナーがデザインライブラリの中から選び出すことで、何十年の歴史の中でつくられた製品の中で本当に良いものを定番商品として売ることができる。そこでのデザイナーは、新しい者をデザインするのではなく、「目利き」として活躍することになる。


デザイナーというのは、単に製品一つをデザインするのではなく、製品を作る過程から消費者が使っている姿までを見通した上で最良のものをつくり出すという役割をになうべきという考え方があるが、デザイナーがデザインライブラリの目利きをするというのも良い商品を消費者に送り出すという点では一つの立派なデザインだと言えるのだろう。