DRMフリーの音楽配信

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レコード業界世界3位の英EMIグループは2日、無断コピーを防ぐ暗号技術をつけないままでデジタル音楽を配信すると発表した。第一弾として音楽配信サービス世界最大手の米アップルと提携し、同社の「iチューンズ・ストア(iTS)」で始める。レコード業界はこれまで違法コピー対策で足並みをそろえていた。EMIは消費者の利便性を高め、配信需要を一段と広げる方向に戦略を転換する。

画期的な出来事。
メジャーグループが、DRMによる利用者の利便性の低下を機会損失として認識したという事だと考えられる。


私は、基本的に、コンテンツの販売については、どういった媒体であれ接する機会が多いほど好きになる可能性が高くなり、好きになる可能性が高いほどその媒体にお金を支払う額が大きくなると考えている。
そのためには、少数の違反を防ぐために多数の利便性を奪うよりは、少数の違反には目をつぶり多数の人に対して、生活の中で音楽に触れる機会をより多く持ってもらう事のほうが重要だ。その意味で、DRMフリーの音楽配信を行う意義は大きい。


ソニーが、中途半端に垂直統合型で家電と音楽コンテンツを囲い込んでいるため、DRMフリーで統一されるためにはずいぶん時間がかかると思う。
それでも、DRMに対する反応がレコード会社で大きく異なることになる。ミュージシャンが、DRMを一つの基準としてレコード会社を選ぶということができ、DRMフリーなレコード会社のシェアが広がっていくということがおきるとおもしろいことになりそう。


日本がこれに追随するのはまたずっと先になるのではないだろうか。
日本での音楽配信は携帯電話への配信が90%以上を占めている。
携帯電話での配信ビジネスは、高い価格で、他に転用できない独自のDRMによる配信というスタイルで成功してしまっているため、大手レコード会社が動く必要性を全く感じていないと思うからだ。


EMIグループでDRMフリーの音楽配信をとなった場合に、日本の子会社である東芝EMIがどういう動きを見せるのかに注目していきたい。