芸術品の複製可能化

4/15の『クローズアップ現代』を見て。


屏風絵・襖絵を高精細スキャナでデジタル化し、色補正を繰り返すことでレプリカを作成し、お寺などにはレプリカを、博物館・美術館にホンモノを置くという試みがなされているそうな。
屏風絵などは、制作されてから数百年がたち、劣化が激しくなってきている。観光客が周りを歩くだけでも染料の剥落が起きるなど、保存が難しい面がある。そのために、ホンモノはしかるべき場所で保存をする。
同時に、屏風・襖などはその空間に存在することに意味があるため、レプリカを置くことでその空間の芸術性を保つというもの。


その意図・試みはすばらしい。
レプリカも専門家をだませるほどではないようだが、素人目にはほとんどわからないほどのものだそうな。


ただ、芸術品についてもデジタルコピーが可能になったことで、コンテンツのデジタル化で生じた問題と同じ問題が芸術品にも起きうる状況となっている。


まだまだ、印刷するために色の補正を何度も行うなど技術的な困難が大きいためそう簡単にコピーが行われることもはないようだが、その反面何百年も昔の作品には著作権が存在しないという側面も持つ。


宗教的な意味をもつものもあり、簡単に複製をしてよいものではない。所有者がデジタルコピーを管理できるようなシステムを作るべきだという主張もあろう。
逆に、公共財・文化財なのだから、一般に広くデータを公開すべきという主張もあるだろう。


現時点で、著作権のような法律上の権利がないがために、その解決にはおそらくなにかしらの立法が伴うこととなろう。
その解決策たる法律は、現在の著作権の有り様についても、いくらかの影響を与えることになるだろうか。