ドラゴンボールに見るメディアミックスの力

ドラゴンボールは、完結してから10年が断ったにもかかわらずこの数年間で非常に大きな収益をあげた。

http://corp.toei-anim.co.jp/ir/2008/01/2033_4.htmlの計数資料によれば、東映アニメーションドラゴンボール関連収益は、2004/3期に5.5億円、2005/3期に5.0億円、2006/3期に8.8億円、2007/3期に12.3億円、2008/3期(第三四半期まで)に6.6億円となっている。
合計で40億円近い収益といえる。
東映アニメーションのみでこれだけの収益であり、出資者に分配された収益はこれを大きく上回るものと思われる。


これだけの売上を上げたドラゴンボールだが、当初東映アニメーションはDVD化の許諾を得ることができなかったのだそうだ。


それを可能にしたのが、メディアミックス展開である。
出版社によるコミックスの完全版の発売、テレビ局によるアニメの再放送、そしてDVDの販売と各メディアでの展開を同時期に行うことで、一度は沈静化したドラゴンボールの注目度を再び高め作品をよみがえらせるという複数社の協力によって、アニメDVDの販売許諾を得ることに成功し、かつ、爆発的な売上を計上することに成功した。


また、完全版コミックスの売上も非常に大きなものであった。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20041027bf01.htm

2001年から刊行された井上雄彦『SLAM DUNK完全版』(集英社、全24巻)が総部数約800万部に達したのに続き、今春まで刊行された鳥山明ドラゴンボール完全版』(同、全34巻)も1570万部の大ヒット。ともに、現在も刊行中の新書判の1割前後の好成績で、新作とベストセラーの上位を競った。

Wikipediaなどには2000万部という記述もある。


もちろん、作品の魅力が非常に高いことがこれだけの売上につながったことは間違いがないのだが、同じように人気のあった『SLAM DUNK』の完全版コミックスと比べて1巻当たりの売上がかなり高いというのは、それだけが理由ではないだろう。
同時にテレビ放送や、DVD化が行われることで消費者が「ドラゴンボール」という言葉に触れる機会が増えたことも売上増に貢献したに違いない。


このようなメディアミックス展開が行われなければ、そもそもDVD化自体が不可能だったということに加え、完全版コミックスがこれだけ売れたということをあわせれば、テレビ再放送やDVD化およびそれらのプロモーションによる注目度アップの相乗効果は非常に大きなモノだったと考えることができる。


メディアミックスの効果として、一つのコンテンツを副次利用することで多様な収益を獲得できるということに加え、それら複数のメディア展開を同時に行うことで注目度を高め、その相乗効果によりそれぞれのメディアでの収益が上昇するということがある。