映画館大賞

映画館大賞というのが作られるらしい。
どうせなら、ただ賞をつくるだけでなく、そこからのビジネス面での連動が行われるといいなあという話。

映画館大賞とは

http://eigakan.blog6.fc2.com/blog-entry-1703.html経由で。

Variety Japan

 ドキュメンタリーや邦画の自主映画をはじめ、商業主義的な枠組みのなかではなかなか上映されない野心的な作品の番組編成で定評のある、都内のポレポレ東中野が、「映画館大賞」という映画の賞を設定し、映画ファンに幅広い投票を呼びかけている。

 「映画館大賞」は、スポンサーのつくような大きなイベントではないが、ミニシアター発信のこうした試みが、最近とんと行われなくなっただけに、話題を作り出す意味からも、貴重な取り組みとだ言えよう。願わくば、毎年行われる持続性あるイベントになって欲しい。ちなみに、投票でトップとなった俳優は、その出演作品10数本が、1週間にわたり上映されるという。

公式サイトはこれ。
映画館大賞

スクリーンでこそ光り輝くと思われる俳優を、映画ファンの皆様のご投票によって選出し、映画俳優のグランプリを決定しようという企画です。熱烈な映画ファンが訪れる場所・映画館に多数投票箱を設置することから、「映画館大賞」と名づけました。

本屋大賞と映画館大賞

引用先の記事(Variety Japan)にもあるが、この映画館大賞は本屋大賞がもとで考えられたとのこと。
ただし、本屋大賞では投票できるのが書店員であるのに対して、映画館大賞は映画館で働く人手はなく映画ファンということで意味合いが違うようだ。
書店員(=本好きでたくさん読むひと)が選ぶ本屋大賞に対して、ミニシアターに見に来る人(=映画好きでたくさん劇場で映画を見る人)が選ぶ映画館大賞ということなんだろう。


本屋大賞が成功したのは、それが消費者の視点に近い賞であることと、大賞を取るあるいはノミネートされることによる広告宣伝効果が非常に高いということだろう。
もともと賞をとったとしても、得られる名誉や権威が大きいわけではないために、特に後者が大きな意味を持つ。
書店では、書店員自らが選んで決めた受賞作品なので、目立つように配置するなど書店の自発的・積極的な販売が期待できる。
また、消費者が好むエンターテインメント性の高い作品が多くラインナップされることから、そこから映像化などへと広がることも多い。

映画館大賞のビジネス面での連動

映画館賞も、同じようにその賞を成功させるために、ビジネス面での起爆剤となるような連動があるといいなと思う。
ただ、映画は本とはちがって長く書店で陳列されるというものではなく、(アカデミー賞でもなんでも)賞が決まる頃には見たくとも映画館ではやっていないということがほとんどだ。
まず、その改善策として、大型のシネコンなどで1スクリーンを使って大賞が決まった後近い時期に再公開をする(協力映画館をミニシアターに限ってしまっており難しいのかもしれないが)といったことが考えられるだろう。多くの映画ファンがコレはオススメと決めた作品(俳優)の映画であることがあらかじめわかっており、受賞したということについては費用をかけなくともニュースで流れるために映画ファンへの認知ができるのだから、採算ラインに乗るくらいの需要は望めるんじゃないだろうか?
他にも、レンタル店と協賛する(ただしレンタル会員に投票を認めてしまうと賞の目的からはずれてしまうのだろう)。CSなどの映画専門チャンネルと組んで賞が決まる前後にノミネート作品・受賞作品を放送するなど、いろいろな方法があるだろう。


本は、書店で売れるかどうかが収益の大きな部分を占めるためにそのままビジネス面での連動につながった。
しかし、映画は劇場公開、DVD(セル・レンタル)、テレビ放送など複数の収益源があるために、起爆剤となるためにはそれぞれの収益分野との連動がどうしても必要となる。
映画業界のプレーヤーを考えると、いろいろな役割へのアクセスが容易なのは配給の人たちなのかなと思うので、興行が中心となるこの賞では、上のような他のプレーヤーとの連動という広がりはむずかしかったりするのかもしれない(実際のところはよくわからないのだが)。

蛇足

個人的には、俳優で見に行く映画を決めるといったことをしないので。俳優に対する投票をしてと言われると、かなり困る。