ヒットを大ヒットにするためアニメの寿命を延ばす

続編の増加

深夜アニメでも、続編が多くなってきた。
競争が激化する中で、すでに実績があり確実な売上が見込めることが製作を後押しする主要因だろう。
また、2クール一度に作るよりも1クール作って様子を見て、人気が出るようであれば2期目を製作すると行ったオプション的な考え方もあるように思う。


それとは少し毛色が違う気がするのが、去年の今頃放送されていた『コードギアス』と今放送中の『ガンダム00』。
両方とも4クールの作品なのだけれど、2クールずつにわけて半年から1年の間隔を開けて2回の放送になるようだ。
十分な質を確保するために4クール連続での制作が難しいというのが第一の理由だろう。

続編における寿命を延ばす効果

これらの作品については、手堅い商売をするため・質を確保するためという要素に加えて、作品自体の寿命を延ばすという効果もある。
アニメにおいてヒットをさらなる大ヒットに拡大するためには、DVDだけでなく様々なグッズやイベントを行い収益機会を拡大することが必要となるが、そのためには作品の寿命を延ばすことが不可欠となる。

半年では足りないグッズ販売

グッズ商品のメーカーから見ると、放送前の段階でグッズを製造するのはリスクが高すぎる。
しかし、放送開始から人気があるかどうかを判断し、そこからグッズ販売を打診・契約を交わし、製品の企画・製造、最終的に小売店に並ぶまでに4ヶ月もかかってしまえば、販売する期間は2ヶ月しか残っておらず、十分な売上は見込めない。(実際にどれだけかかるのかは知らないが、DVDが放送開始から3ヶ月くらいかかることを考えればグッズ会社が販売を決めるまでの1ヶ月間をプラスして4ヶ月くらいになるんじゃないだろうか?)
このため、アニメグッズの販売を積極的に行うことはかなり難しい。


WEBアニメスタイル_特別企画より

売れる作品を作っていれば、スポンサーもつくんじゃないか、と言われるかもしれないけれど、1クール、2クール全盛の最近だとなかなかね。『ナデシコ』だって2クールだったし、放映時のファンの食いつきって思ったほどよくなかったんだよ。むしろ放送終了から劇場版公開までの期間があったおかげで、1年シリーズと同じようにファン層を広げたり商品の展開ができたりしたわけだから。実際、グッズの発売は放映後の方が多かったんだよ。劇場版のDVDの発売まで入れるとほぼ3年のプロジェクトだったんだな、あれは。2クールのアニメだとこんな売り方しないよね、普通。でも今のアニメのペースで資金を回収しようったってできないよ。立ち上げてる初年度の売り上げは芳しくないだろうし、実際商品を出したところでこれまた大儲けできる保証はない。


引用文のように、ファン層を広げたりグッズ展開をするためには半年では足りないといえる。
しかし、同じ2クールのアニメでも、それをたとえば1クール+半年のインターバル+1クールの放送とすると、作品の寿命は1年間となる。
1クール目で火がつけば、2クール目の期待を持たせつつそのインターバル期間にDVDを販売し、同時にグッズ展開を行うことができる。そして、2クール目の放送を十分な種類のグッズが存在する状態で迎えることができる。
同じ2クールの作品でも、2クール連続して放送する場合には放送終了まで3ヶ月しかなかったグッズの販売期間が、その3倍の9ヶ月となり売上も当然増加することになるだろう。

イベントを行うための人気の閾値

2007年のアニメでは、『らき☆すた』が商品化・イベント等においていろいろな展開を見せているような気がするが、たとえばゲーム化のPS2ゲームが今月発売と放送開始から10ヶ月経っていたり、どこかの神社でのイベントなども放送終了後の12月となっている。
ご当地イベントでも言えるような神社でのイベントは、非常に人気があったために可能なイベントではあるが、それを新たな収益機会として考えると、テレビ放送の間にインターバル期間を設けて作品の寿命を延ばしておくことで、『らき☆すた』ほどの人気がなくともイベントを行うことができるようになりそうな気がする。