柏崎原発について

似た考えの記事を発見した。
と思ったら、原子力工学やってた大前研一氏だった。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/91/

 確かに弱い放射能が外に漏れた。それは事実である。6号機では使用済み燃料プールの水が溢れ、海に流れ出た。7号機からは空気中に放射性物質が漏れた。また、地震のための故障、破損箇所が60カ所、見つかっている。しかし、だからといって、今回の事故があたかも大惨事寸前のものであったかのような報道は、本質を伝えず誤解を招くだけだ。


 わたしは原子力工学で博士号を取り、その後数年間ではあるが原子炉の設計でメシを食っていた人間である。今回の事故は専門家の立場から見ると地震に対する基本動作としては「見事、想定通り」と褒めていいほどの部類に入る。


 一方、想定外の規模の地震が起こったという貴重な経験から、従来の設計思想に欠けていた今後対処しなくてはいけない貴重な教訓も得られた。いたずらに大騒ぎするのではなく、想定外の地震に見舞われた時に、想定通り機能したことは何で、想定してなかったようなトラブルは何であったのか、またその原因は何であったのか、そうした分析を行い、それを周辺住民だけではなく、全世界の関係者と共有しなくてはならない。世界中の原子力関係者が今回の貴重な経験をもとに原子炉の安全性を一層高める努力をすることがいま求められている。


以下、私が書いたエントリ。
原発は怖すぎる問題。 - Obra de Sobra よしなしごと

今回は原発に設計時の基準を大幅に超える規模の地震が直撃した。設計基準が、実際の地震に比べて大幅に低いものであったことは非難されるべきだし、これからの改善策を真摯に検討しなければならない。

でも、その大幅に超えた事態に際して起きたのは、天然温泉数リットル分の放射線が外に出たとか、外部変圧器に火災が発生したとかであって、大規模な事故につながる炉心はびくともしていない。褒めろとは言わないけれど、一定の評価をすべき事実なんじゃなかろうか。そして行政・電力会社がいう「絶対安全」について約束が破られた訳ではない。


似たようなところで学べば、似たような考えを抱くようになるということだろうなあ。逆に言えば、原子力関係のシステムについて学んだことがなければ、「とにかく原発は怖い」という考えから抜け出すことが難しいということか。
その後の報道で、ヨーロッパでは「チェルノブイリ級の事故が起きた」という誤報が出回っていたという話があったのだけど、日本のマスメディアがこぞって「放射能漏れ!」「やはり原発は危険だ!」という内容の報道をし続け不安を煽っていたことを考えれば、事実がわからない諸外国がチェルノブイリ級という印象を受けるのも仕方がないところかもしれない、などと考えた次第です。