続・アニメにおけるパチンコライセンスの収入

前回のエントリについて、いくつか貴重なコメントをいただいた。
アニメにおけるパチンコライセンスの収入 - Obra de Sobra よしなしごと
基本的には、ライセンスの料率がおかしいよ的なつっこみで、他に情報を見つけられなかった身としては非常にありがたい。

ライセンス料（or料率）に関するコメントの整理

ライセンス料に関して情報をいただいたのは次のA,B,Cのお三方。

(A) 通りすがり(2008/02/28 19:37)さん
(B) ななし（2008/02/29 00:22）さん
(C) id: AKIYOSHIさん（はてブコメント）
(D) 唐沢氏のイベントでの話

コメント等における1台当たりのライセンス料（or料率）

1台当たりライセンス料

1台あたりのライセンス料は販売額に連動するものではなく、定額 - (A),(B)
1台当たりのライセンス料の相場は通常は2,000円から5,000円くらい - (A)
1台当たりのライセンス料の相場は通常は2,000円から6,000円くらい - (B)
非常に人気の高い（価値の高い）作品のライセンスは20,000円くらいまで上がり得る - (A)
非常に人気の高い（韓流とか）作品のライセンスは桁が上がる（1万円以上） - (B)

ライセンス料率

4−5％が相場（C)
7%(D)

私が見つけた情報

裁判所 | 裁判例情報
 宇宙戦艦ヤマトの著作権に絡む訴訟で、パチンコメーカに対して東北新社が損害賠償請求をしたという裁判の判決文。
（最終的には賠償請求が認められていないみたいなので、金額算定根拠については東北新社の一方的な要求でしかない模様）

(6) 損害額（争点(6)）について
（原告）請求の拡張申立書
ア被告三共による損害
被告三共は，被告パチンコゲーム機を少なくとも８万９１０２台製造，販売した。
被告パチンコゲーム機の１台当り販売価格は，２０万円を下らない。
被告パチンコゲーム機に対する著作物利用許諾料は，販売価格の５パーセントが相当であるから，被告パチンコゲーム機に対する著作物利用許諾料は，少なくとも１台当たり１万円を下らない。
よって，原告が被告三共の前記著作権侵害行為によって被った著作物利用許諾料相当損害額合計は，８億９１０２万円を下らない（著作権法１１４条３項）。

ライセンス料率5％という数字が出てくる。
また、パチンコ台1台当たりの価格を20万円（を下らない）としている。

7％の妥当性

7％という数字は上記コメントの枠内で考えると、販売単価30万円で一台当たりのライセンス料が2万円の場合に出てくる数字となる。
というわけで、一応あり得ない数字ではないが、一般化して良い数字ではないことも明らかだろう。

ライセンス料率で考えると？

前回のエントリではパチンコ台（パチスロ含む）1台当たりの価格を35万円としたのだが、高すぎるとのつっこみがあった。
とりあえずSANKYOグループの2007年3月期有価証券報告書から数字をあさってみた。
パチンコ機（ゲージ盤販売含む）の年間販売数が64万台で、売上が1414億円。1台あたり22万円程度。パチスロ機（ゲージ盤販売含む）の販売台数が14万台で、売上が329億円。1台あたり23万円程度となる。パチンコ店への販売は、商社経由と直販があるようだが、その割合や商社の取り分もわからないため、パチンコ店への最終販売価格がコレにどれだけ上乗せされるかは不明。

25万円と30万円で考えてみる。
普通のアニメのライセンス料が1台あたり4,000円と仮定すると、販売価格30万円に対するライセンス料率は1.3%程度となる。販売価格25万円で考えると1.6%。

ところで、ライセンス料率が4-5％程度が相場という話もいくつか出ている。この場合、1台当たりのライセンス料は1万円から1万5千円となる。
これは人気の高い作品に対する金額ということになるのだろう。

ライセンス料率で見ると、通常は1−2％程度が相場で、人気作品になると7％程度まで跳ね上がるというくらいの認識にしておけば良いだろうか。

あらためてライセンス収入の概算

ライセンス収入は、パチンコ台売上×料率で計算するよりも、1台当たりライセンス料×販売台数で計算した方がよさそうだ。

そして通常のアニメ作品をライセンスした場合、1台当たりライセンス料を4,000円、最低保証の台数を1万台とすれば4千万円の収入が見込めるということになる。

非常に人気が高く、シリーズ化されるようになると、たとえば1台当たりライセンス料が1万5千円、最低保障台数10万台といった形で、それだけで収入が15億円ということになる。

前回の記事と一桁までは違わないにしても大きく違う。